1. HOME
  2. ブログ
  3. 環境と生活
  4. AIによる病気の予防と診断

AIによる病気の予防と診断

  淡路島の人口減少の速さは日本全国と同じであるか、その先を行っているかもしれない。少子高齢化に対する対応が日本の抱えている課題の1番かもしれないとは、誰しも気づいている。政府は、これに対応するために様々なことをしているが、その一つはAIの導入やIT技術で人手不足や高齢化に伴い生ずる課題を解決することである。この政策はソサイエティー5計画と言われている(モデル図、内閣府 科学技術政策から引用)。人口減少が進む地方で高齢者の面倒を見るには、なるべく街の中に人々が集住する方が良いとすることや、一人暮らしの高齢者が抱える問題を素早く察知するために、デジタル技術による連絡網を整備することなどがその代表である。

  高齢者が抱える健康問題は、医学的にもし各人の抱える健康の将来像が予測できるなら健康リスクの回避に繋がるはずである。こうした研究はどのくらい進んでいるのだろうか。最近イギリスのNature誌にイギリスのバイオバンクに登録している40万人の人々の健康履歴データを用いて新たなプログラムを開発し解析した結果が報告された(Learning the natural history of human disease with generative transformers, by A. Shmatko, et al. Nature (2025) vol 647 Nov. 6th)。このプログラムを用いれば、人々の将来の病気になりやすさを予測できるという。これを用いて予測したことが、正しいかどうかをデンマークの190万人規模の同じようなデータベースで検証して確度が高いことが示されている。その結果、Delphi-2Mと呼ばれるこのプログラムを用いれば1000種以上の病気について、解析依頼者の羅漢確立や病気の状態変化の将来予測が可能になるとしている。また、健康な人でも未病状態で、将来の健康問題を予測してそれを回避できるとしている。

  AIプログラムperplexityを用いて、健康診断などにおいてどれほどAIを用いた解析が進み、またその正答率がどの程度なのかを調べてみた。

  AIを病状の解析に用いることは、すでに幅広く行われている。その中で特に注目されているのは、がんの診断や脳血管系の異常などである。がんは早期に病巣を切り出し、顕微鏡で細胞の異常の様子を病理学者が解析する。その細胞の異形性から悪性度や将来予想がなされている。この細胞の形態のデータにより、AIは将来予測ができる。結果は、医者の予測と遜色ないか、それより良い結果が得られているという。脳の中の血管をMRIという技術で可視化できる。血管の形態の異常や血管の詰まりなどが目で見てわかる。この解析にもAIが力を発揮する。こうした診断を専門医とそうでない医師などの診断の正答性を比較することも行われており、専門医に比べると劣るものの、非専門医との比較では、同じくらいの正答率で50%程度とされている。どの研究も現段階では医師の判断を補佐するレベルと捉えられている。

 ユバル・ハラリ氏のホモデウスというベストセラーには、AI技術やビッグデータにもとづく技術の進歩や応用の現状が多数紹介されている。ハラリは、地球上の現象には背後に科学的な必然性があり、そのメカニズムには論理性があるとしている。この論理性をアルゴリズムと名づけていて、アルゴリズムも解明できれば、AIにこのアルゴリズムを理解できるようにして、装置として小さなチップを装着し、今起きていることの次のことを予測させることが可能だとしている。こうした社会はもうすぐ日常になりそうである。その時は、少子高齢化社会のかなりの問題も解決されるかもしれない。