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環境とエコ検定

今日(4月20日現在)はまだ4月の中旬なのに気温は25度を上回り夏を感じる。毎年の夏の気温は実感として上昇している。花もすでに従来なら4月の下旬に開花する躑躅が咲き出している。例年と違う気温の変化は体感できるレベルに達しているのは確実である。

 われわれが環境の変化に対応しなければならないことは、よく報道されることである。一人の人間の毎日の生活、特にエネルギーの節約が環境維持に関わっていることは、疑問の余地はない。なるべく車を使わないことや室温の設定を厳しくすることによる節電などが求められている。それが温暖化を進める二酸化炭素の減少に繋がるからである。

  それでは私たちはどのくらいこの環境問題を正しく理解しているのだろうか。環境問題の専門家になる一つの簡単な方法がある。東京商工会議所が主催する環境検定試験(エコ検定)(環境社会検定試験 成美堂出版)の内容を勉強することである。この資格取得により企業活動で必要となる環境保全で活躍するバックグラウンドもできる。また同時にECO検定の課題を学ぶことは、環境問題がどのようなものかを正確に理解するとても良い方法であると言えよう。ここで出題内容をみて、環境問題がどのような捉えられているか見てみよう。

   問題は、基本的なものから応用課題までつぎのような順番で出題されている。

1。環境とはなにか? 

2。環境を巡る問題の発生の歴史。

3。環境を巡る国際連携の歴史。

4。現在締結されている国際的な環境保全の取り決め。

5。環境保全の方法。

6。企業活動と環境の保全。

それぞれについて簡単に触れてみたい。

  • 環境とは?

  まず環境の定義はどうなっているのだろうか。我々に関わる身近な周りの状態が環境である。これには、国レベルのこと、さらには国際環境、地球環境、宇宙まで関わっている。また、環境を感じる身体内部の生物学的環境や、空気、水、温度など純粋に化学的・物理学的環境まで含まれる。すなわち、我々人間が関わる環境は極めて多様で幅広い。しかし、重要なことは,もともと人間は地球上におらず30万年ほど前に類人猿から発生したにもかかわらず、いまや地球上の生き物の一部というよりは地球の環境を左右し、地球を破壊することもありうるまでの存在になっているということである。その急激な人口増加は、産業革命以来のわずかこの150年ほどの間のことである。

図 日本の人口の変動の歴史  明治以降急激に増加した。(国土交通省 HPより)

2.環境問題  環境はわれわれの周りの全てのことであるが、いずれについても問題がある。特に、国内の地方から国レベルを超えて地球環境には常に変化があり、そこには問題がある。例えばPM2.5(空気の微粒子)の代表である黄砂は中国からもたらされ健康問題をおこす。寒い北風も中国や北朝鮮からくるが、降雪などの問題がある。もっと具体的には、過去の歴史をみると水俣病に代表される企業活動による水の汚染、また自動車の急増した頃の空気の汚染による喘息の発生(四日市喘息)などである。問題の根源を突き詰め予防策を講じないとわれわれは生き延びられない。これには幅広い研究が必要となる。

3. 問題解決のための国際連携 こうした環境変動問題の多くは人口の増加に伴っており国を超えた世界の問題である。特に第二次世界大戦後の経済復興と発展の時代である1970−1980年代には世界で多発的に同様な環境問題がおき、先進国を中心に対処のための取り決めが必要となった。しかし、その後は開発途上国から環境維持のための規制が先進国と同じように適応されることは公平ではないとの不満がおこり、2015年にはより公平性を意識し国の産業構造の違いに基づいて取り決めを決める方向に国連を中心に舵が切られた(1992年 気候変動枠組条約締結)。2015年に提言されたSDGs(持続可能な開発目標)にはその意味で世代や国を超えて追求すべき環境維持を含めたわれわれの日常生活の到達すべき目標が示された国際連携の取り決めである。これには人権環境の改善までが盛り込まれている。

図 気候変動に関する枠組みの協定 (1992年)

4と5. 環境保全の方法 環境の保全を目指すためには、注目する環境問題を数値化する必要がある。地球温暖化が問題になり、1988年にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が設立され2030年度までに産業革命前の地球の平均気温レベルにすることを目標にし、各国は温度上昇の原因と考えられる温暖化ガス(特に二酸化炭素)の排出量を独自に設定するように取り決めがおこなわれている。これは環境問題に関するデータに基づく最も良い取り決めの例である。海や川の水質の汚濁の指標はBODやCODの値を元にすでに努力目標が決められている。これを元に瀬戸内海の水質は大幅に改善された。

図 気候変動に関する政府間パネルの構成

6.ビジネスと環境 地球上の環境の保全は最終的には全ての個人の努力に関わっているが、ビジネス活動の関わる部分は大きい。その意味で国連は世界の企業にESG(Environment, Society, Government)を意識したビジネスを求めている。環境保全を意識し、社会貢献を目指す企業統治を行う様にとの願いである。これを意識した企業は今では投資価値が高いものと認識されている。さらに、環境保全を目指すビジネスモデルが世界レベルで表れている。総称して環境ビジネスという。環境問題の改善には投資や知識が必要であり、民間と自治体とのコラボレーションが必要であり、これはビジネスとなっている。パソナグループの進める地方創生も新しいビジネスモデルである。   ECO検定問題には、上記の6つの要素の細部が全て加味されており、真剣に取り組まないとなかなか合格は難しそうであるが、環境問題を知る良いきっかけとなろう。