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海堀(カイホリ)とは

   淡路島を囲む瀬戸内海でのイカナゴ、イワシ、などの漁獲量が減少している。最盛期の半分ぐらいになるらしい。淡路島の沖合では海苔の養殖も盛んだったが近年養殖風景も減ってい海苔の色づきもよくないという。こうした現象は、海が綺麗になり、魚の餌になる養分が減ったためと考えられている。海水の貧栄養化と呼ばれる。実際海の養分の指標となるBODやCOD(いずれも海水中の養分となる汚物を燃やすのに必要となる酸素量、多いほど養分が多く水は濁っている)の量は、最も汚染が進んでいた1970年台の3分の1ほどである。海水が3倍綺麗になったと表現できるかもしれない。これは汚濁の進んだ1970年代から法律により生活排水の海への直接放流が禁止され、沿岸都市部の下水の処理や工場からの排水の浄化が進んだためである。

  しかし、漁業には深刻な影響があり、今では下水の中のリンや窒素分の海への排出の管理が行なわれている。このような流れの中で、海堀と呼ばれる昔ながらの行事が注目されている。海堀とは、淡路島に1万以上あるという溜池の掃除のことである。水抜き、池底の掃除と乾燥などの一連の作業からなり、池の中の汚泥を除き、清掃する。県や市が関わり溜池の水を利用する地域の人々や地域にある企業の人々の社会貢献の場になっている。除かれた汚泥はリンや窒素分が多く海に流され貧栄養化を防ぐことになる。珍しい光景が繰り広げられるので、写真で現場を示したい。淡路島だけでなく、瀬戸内海に面する他の各地でも同じような作業が海の活性化に貢献している。

 淡路市久留麻にある七尋池で2025年10月23日に8年ぶりに行なわれた海堀の様子を下に紹介したい。この池は、差し渡しが100メートルほどの丸い池で、海から数百メートル離れた岡の上にあり、堰き止めた土手の下に広がる水田に水を供給している。数十人の地域の人が参加し、水を抜き底の泥を流し捨てられたゴミを除き、水を放水し底を洗ったのち、乾燥させその後に水を再度貯めるという手順が取られた。

2025年10月の七尋池の海堀の様子

七尋池は、直径が100メートルほどの溜池で、通常は水田への水を送るため水で満たされている。

土手は高く、海堀のために水を抜くとこの排水溝に流されて下流の水田や海へと流れていく。

土手の下に広がる水田。その先に海に繋がる。

海堀のために土手の上に地域の関係者が集まっている。

土手の中央部の下に排水するための穴があり、通常は栓がされているが、海堀のため開かれている。

溜池の底の泥を掻き取り、捨てられたゴミを除く、参加者はゴムでできたズボンを履いている。

泥やゴミを除く作業。

ゴミや泥の除去にはシャベルカーも使われる。

池の底が現れると、水をホースで流して汚物を洗い流す。

池の底を掃除し、乾かして再度水を流し込む。