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地方創生とメタバースとは

   数年前にインターネットのフェースブック社が社名をメタと変えたことが大きなニュースになった。メタとは“超越”という意味で、現実を超えた仮想のという意味で使われている。メタ社はインターネットでみたり感じたりすることを取り扱うので、自社のビジネスを仮想空間を取り扱うビジネスととらえているのであろう。そのために会社の名前を変更したようである。それ以降、メタバースという言葉がよく出てくるようになった。バースとは、空間という意味でユニバースが宇宙空間として馴染みのある言葉である。メタバースはこれになぞらえて仮想空間での出来事全体を考える際に使う言葉である。手元に、井上智洋氏の著書(メタバースの経済の未来、文芸新書1387)がある。この本では、インターネットにある仮想空間でのビジネスが広範に世の中で進んでいることが紹介されている。

  メタバース空間では、人はそのまま自分の姿を映像として示すことがきるが、実際には自分の分身であるアバターと呼ばれるものを作って仮想区間の中を動きまわらせ、自分が仮想空間の中で動いているという錯覚だが感じることができる。すなわち、自分が仮想空間の中で歌を歌ったり、勉強をしたり、知らないヒト(アバター)と会話するといったことを現実の空間と同じようにすることができ、現実の空間での出来事が拡張されたとも言える。アバターの容姿や服装などにお金をかけることもできる。井上氏の著書によればメタバースにはすでに経済社会ができているというのである。さらに同著では、メタバースを使った経済社会は、これまでの資本主義とは異なる部分があるという。アバターを使うことに抵抗がある人も多いだろが若い人や子供には人気だそうである。また、自分の姿を見せたくないが、発言したい人にも人気である。障害を持っている人や、現在の社会の多くの考え方とは異なる人にも情報発信の際の助けになるようである。

図 アバターが受付のお客さんにモニターから対応している様子。(Pasona社)

  こうしたメタバース空間を利用するのは、今述べたようにお楽しみだけではなく、かなり実生活に有用なものも多数ある。自分は動けないが、アバターをつかって多くの人が集う会合や集まりに参加できる。老人が多くなるこれからの社会を考えると、動くのが億劫だが、一人寂しく取り残されている老人にはとても役に立つように想像できる。孤独を癒す積極的な効果があるという。障害があって家の外に出られない人や、メンタル的に人と直接話すのが苦手な人にもアバターを介して外出や人とのコミュニケーションの代わりをしてもらえる。

  パソナ社では、現在の社会が抱える人手不足に対処するために積極的にメタバースを利用し雇用機会の増大を目指すビジネスに取り組んでいる。­­淡路島のパソナ社の一角にアバターのオペレーター室がある。このオペレーターはパソコンを前にして、淡路島内のいくつかのレストランや劇場などの窓口のカメラに繋がっている。カメラの前に現れる顧客の質問に答えているのである。一人の人が複数の窓口にでるので、人手の少ない状況を補う大きなマンパワーになっているのがわかる。窓口のモニターに現れるアバターは異なっており、同じオペレーターであることは、窓口で映像を見る人にはわからない。オペレーターは淡路島に在住の人がたずさわっており、淡路島の雇用の創出に貢献している。さらに淡路島のオペレーターは大阪や沖縄の契約企業の窓口業務なども担当しているとのことである。過疎地の人手不足を遠隔で助けることができる新たな職種としてアバターオペレーターの可能性はこれからもっと拡大するであろう。

   アバターを使った仕事の仕組みには、インターネットへの接続、パソコンがあれば十分である。ただ、インターネット上のプラットフォームが必要である。パソナはこの技術的な問題を大阪大学基礎工学研究科の石黒教授の主宰するベンチャー企業(AVITA社)との協業で解決している。この協業(アバター人材雇用創出プロジェクト)はビジネスとなり、多くの可能性を秘めている。淡路島内では、ローソンの窓口を淡路島の人の雇用により自宅からの就業で賄っている。ネット上では、Clusterというプラトフォームが無料のアプリを提供している。これにアクセスすると、カフェ、美しい自然の中、などで雑談できる空間(ワールドと名付けている)が示される。Clusterを起動し自分のアバターを選び、これらの空間に身を置くことができる。非現実だが有用である。

図 アバターを使う事業の呼びかけ(Pasona社)

  メタバースによるネット空間における世界に身を置くことはこれからますます活発になるのではないかと想像できる。これは、AIにより言葉の違いを乗り超えることと相まって世界中のいろいろな人と、仮想空間で話ができるようになるのではないだろうか。これは世界の平和にも新しい道を開くかもしれない。