地方の創生に必要な人材の育成にはなにが必要なのか(2)
前報で示したように、地方の活性化(地方創生)には活性化を行う地方の特有な事情を考慮し、これに対処する能力や地元愛を有する人材が必要である。例えば、淡路島には特別な粘土が産出されることから、明治以来瓦の生産地として有名である。淡路島産の装飾を目的とした鬼瓦を見るとその光沢や迫力に圧倒される。その芸術的価値を保存しつつ新たな市場を見出すことは大切に思われる。また、徳島で取れる杉の葉を材料とする線香の生産でも有名である。線香の香りは古臭いイメージがあるかもしれないが、香料のある生活の演出で新たな販路は広いと感じる。こうした例を挙げるまでもなく、地方創生には、伝統的な物産の活用と販路の拡大は必須要件であり、ビジネスとしての発展には、現在の市場分析やITを利用することが求められる。
日本の各地には同じようにそれぞれの地方に特有な伝統産業があり、これを活性化することが地方創生の一つの道であることは間違いない。都会にはなく地方にあるのは、農業や水産業である。これらを軸に産業の発展もありうる。どうしたら新たな地方の産業発展を目指す人材が養成されるのだろうか。
地方の特有な事情を理解し、それを発展させる能力を有する人材を育成するための専門職大学院が多数すでに地方の国立大学を中心として設立されている。さらにこれを後押しすべく内閣府は地方大学における地域創生の人材育成に支援金を創設している。専門職大学院では、従来の大学院のような専門的内容を持つ学術論文の提出を要請されないが、問題提起と解決のプロジェクトを修了要件である2年の履修ののちに示すことが求められている。こうした背景の中で、高知大学、香川大学、北海道大学、山形大学、などで地方の国立大学が大きな力を注いでいるのがわかる。一方で、立教大学や京都大学のような都会の大学でも地方創生創生に関わる人材の育成のための大学院ができている。
ここで、具体的には香川大学の場合を見てみよう。経済学の大学院においては、地域マネージメント研究科を作り、地域のビジネス活性化や地域の抱える問題の解決の方策や問題の解析を行える人材を育成しようとしている。
2023年度の修士プロジェクトのリストは、下のようにHPに示されている。

図 香川大学大学院 経済研究科 地域創生コースの修士成果プログラムより引用。
地域に根ざした問題を提起し、その解決を目指す提案が並んでいる。ビジネスを目指すものは少ない。むしろ提起された問題は、どの地域にもある課題が多く普遍的な内容である。大学側は、修了後の方向性として公務員、観光業、地域企業への就職を推奨している。特徴的なのは、学生が現役の仕事と学業を両立させている場合が多く、異分野の人材の交流の効果もうたわれていることである。
地方創生を理論的に学び、多方面の人材とコミニケーション能力を養った人材は、大きな貢献ができるのではないかと期待される。